翻訳の大地

できるだけ「翻訳」にまつわる様々な話題をとりいれて書いていくつもりです。

タイ(9)

タイで特に注意すべきタブー

タイ人の頭には不必要には触れてはいけない。人間の頭には精霊が宿ると信じられているからだ。

かわいいかといって子供の頭をなでないように注意しよう。子供の頭をなでる程度なら、タイ人もとりうる動作だが、目上、年上の人の頭に触れたり、女性が男性の頭に触れるというのも、忌み嫌われる行動だ。

頭とは正反対に足の裏は仏教上、不浄とされている。特に足つぼマッサージなどで、間違っても足で頭部に触れることのないように。

僧侶と接する時にも、女性には特に注意が必要だ。僧侶が一度女性に触れてしまうと、それまでの修業が全て水泡に帰すと定められているからだ。

(続く)

 

 

タイ(8)

タイ人気質

タイ人気質を象徴するキーワードが2つある。

「サバーイ」は心身ともに快適な状態を表現し、「マイペンライ」はちょうど日本語の「大丈夫」に相当する。

この2つの言葉が象徴するように、タイ人には堅苦しいことや面倒なことを嫌う性向がある。同様に管理を嫌う傾向もあり、管理を「する」ことも「される」ことも望まず、自由気ままな好き勝手を好む。

とはいえ単純に怠け者と切り捨てることはできない。逆説的になるが、心身の状態を快適に保つためにはどんな困難をも厭わない。旅行者もタイ人はいい加減だ、無責任だと憤慨する場面に遭遇するかもしれないが、根本的な生き方が違うのだということを念頭に入れておきたい。

基本的には心根の優しい、争いごとを嫌う、実に温厚な人たちだ。

(続く)

 

タイ(7)

タイ王室への敬意

 

タイの王室は国民から絶大な尊敬の念を集めている。日本はもとより世界中でも比肩する王室は少ないだろう。中世や戦前の混乱期ならまだしも、この傾向は近年以降にますます強まっている感がある。

 

巧みに操作されたイメージがあるのも事実だが、現王室には確かに尊敬を得られる素地もある。王室内のゴシップや噂話が露見するようになった最近でも、一般庶民の信頼感は揺るがない。

 

旅行者とはいえ外国人も、王室に対しては敬意を払うことを忘れずに。ワット・プラケオなど、王室守護寺院ではとくに服装にも注意が必要だ。

 

映画も本編の上映前には必ず王室礼賛の歌が流れ、全員が自然に起立する。この際は、旅行者も起立するのが望ましい。最悪の場合には不敬罪という重罪が適用されることも念頭に入れておくべきだ。

 

(続く)

タイ(6)

タイの宗教

国教は仏教だが、日本や中国とは異なり、セイロン(現スリランカ)から渡来したティラワーダ(上座部)仏教だ。大多数の国民が仏教を信仰しており、全国各地、人の住むところには必ず仏教寺院がある。

 

都心でも寺院の界隈では、黄衣の僧侶がまだ夜も明けきらない早朝から托鉢に歩き、家々の戸口で庶民がひざまずいて寄進(タンブン)をする光景が今も広く見かけられる。古くから伝わる精霊(ピー)信仰もタイ社会の隅々に生きていて、土地神様や家神様を祭る風習などは旅行者でも目にすることがあるはずだ。これら仏教と精霊信仰が混合し、タイ社会の道徳や価値観の根底をなしている。

 

(続く)

タイ(5)

タイの通貨

タイの通貨単位はバーツ(Baht)とサタン(Satang)で、通貨の種類は、1000B、500B、100B、50B、20B、10B、の6種類の紙幣と、10B、5B、2B、1B、50サタン、25サタンの6種類のコインがある。旧貨幣や記念硬貨も流通しており、複数の種類を目にする。2014年7月2日現在、1バーツ=約3.60円だ。

 

タイの両替所

繁華街や観光地などで見かける「EXCHANGE」の看板は、銀行の出張所であることが多い。ATMを備える場所も多く便利だが、人通りに面した目につきやすい場所にあることも多いので、周囲にも十分気を配りたい。営業時間の目安は10:00~20:00だ。

 

銀行での両替

相当額の両替なら銀行内の方が安心だ。5万円または500米ドル以上だと、パスポートの提示を求められる場合もあるので、忘れずにパスポートを携帯しておこう。

 

(続く)

タイ(4)

郵便局・インターネット

4階出発ロビーの西側隅には、24時間営業の郵便局がある。隣接して通信局運営のネットカフェもある(24時間営業)。Wi-Fiアクセス用の各種プリペイドカードはキオスクやコンビニで購入できる。

首都バンコクでは、スマートフォンの普及率が高くなってきているので、インターネットにアクセスできるポイントも増えつつある。カフェ、レストラン、ホテルなど、無料WI-Fiを提供している所も多い。

スマートフォンが使えれば、無料翻訳アプリを利用することもできるため、便利なことも多い。

 

手荷物一時預かり所

到着・出発ロビーともに、荷物を預かるカウンターがある。24時間営業で、タイを起点に周辺諸国を旅する人にとっては便利だ。

(続く)

タイ(3)

インフォメーション

到着・出発ロビーともに、24時間営業の案内窓口があり、出迎え人、尋ね人の構内アナウンスなども受け付ける。到着ロビーには、TAT(タイ国政府観光庁)があり、英語の市内地図など、各種の観光案内が受けられる。

ホテル&ツアー予約

到着ロビーには、タイホテル協会(THA)の予約窓口がある。料金は前払いのクーポン制で、市内の中級以上のホテルならほとんどが予約可能。写真入のアルバムから気に入ったホテルを選べる。タイ旅行業者協会(ATTA)のツアーカウンターもあり、各種オプショナルツアーが予約可能だ。

タイの文字は複雑で日本人にはなかなか理解しずらいが、空港や大きなホテルでは、英語が使えるし、場合によっては日本語へ翻訳された資料をもらえることもある。

(続く)

タイ(2)

旅客ターミナルの施設

旅客ターミナルはひとつで、国際線・国内線共用。近隣国や国内線の一部路線には2012年7月現在、ドンムアン空港から発着する便もある。

電 話

ターミナル内の各所に公衆電話がある。テレカは最寄のコンビニなどで購入できる。黄色の国際通話専用電話ならクレジットカードでも通話可能。携帯電話をレンタルするなら、到着ロビーのショップが一番便利だ。

銀行・両替

入国前、出国後も含めて、ターミナル内の至る所に両替所がある。営業時間はまちまちだが、24時間の両替所も多い。交換レートにも多少の差があり、一般に市中の両替所よりも悪く、一度に高額の両替も不可。高額の両替なら、店構えが大きな銀行の空港支店が各フロアにある。 

言葉に不自由であっても、最近はタイ語を日本語へ、もしくはその逆の日本語をタイ語へ翻訳してくれるソフトウェアやアプリがあるので、簡単なやりとりであれば、問題はない。

(続く)

 

タイ(1)

スワンナプーム空港

新たに開港の大都市バンコクの表玄関

スワンナプーム国際空港は2006年、バンコクの東方、約25kmの場所に開港した。成田空港の約3倍という規模を誇る新空港は、東南アジアでも最新・最大級の拠点空港として、インドシナ半島全域の新しい玄関口としての重責を担っている。

以前の国際空港だったドンムアン空港を国内線として発着している一部の路線がまだあり、また、ドンムアン空港を格安空港のハブ空港とする提案も検討中なので、国際線の利用や近隣国への移動などには注意したい。

タイから日本への観光客は、年々増えてきているが、タイ人が日本で使うお金は中国人の3倍とのことで、日本にとっては大変ありがたい観光客と言える。

上顧客ということであれば、当然そこには「翻訳」や「通訳」というビジネスに繋がる可能性がある。 

(続く)

つじつまが合う

つじつまが合う = add up

 

 add up を他動詞で使う時と自動詞で使う時で意味が異なる。

add up が他動詞の場合 = Add up the figures.  (数字を合計しなさい)

add up が自動詞の場合 = The figures add up perfectly.  (計算は完全にあっている)

            = The figures don't add up.  (計算が合わない)

 

「計算が合う(合わない)」⇒ 比ゆ的に「つじつまが合う(合わない)」

 

(例 文)

「マイケルの話はつじつまが合っている」

Michael's story adds up. 

「お前の話はつじつまが合っていないぞ」

Your story doesn't add up.  

ぶっつけ本番でやる

ぶっつけ本番でやる = "play it by ear

 

時間がない、情報が足りない、準備ができない、などの理由によりぶっつけ本番で何かをやる時の表現。「成り行きにまかせる」という意味もある。

 

"without (any) rehearsal" (リハーサルなしで)や "without (any) preparation"  (用意なしで)が、「ぶっつけ本番で」の意味で使われるが、"play something by ear" は、もう少し口語的な表現。

 

"play something by ear" = 直訳すると、耳で聞いて(by ear) なにか(something) を弾く(play) という意味。

 

(例文)

「会議ではぶっつけ本番でやるしかなかった」

I had no choice but to play it by ear at the meeting.  

「金曜日に天気予報を聞いて、あとは成り行きにまかせよう」

Let's just listen to the weather forecast on Friday and play it by ear. 

口コミで、 人づてに、 裏ルートで

口コミで = "by word of mouth"  

 

word-of-mouth communication  ⇒ “口の言葉”のコミュニケーション ⇒ 口コミ

 

(例文)

「その情報は口コミだけで広まった」

The information was spread by word of mouth only.  

 

人づてに = "through the grapevine"   or  "on the grapevine

 

grapevine(ブドウのつる)を伝って得られる情報 ⇒ 秘密の情報源、裏ルート

 

(例文)

「そのことは人づてに聞いた」⇒「そのことは裏ルートを通じて知った」

I heard about it through [on] the grapevine.  

 

 

ぎりぎりで間に合う

ぎりぎりで間に合う = "just make it"  

 

「納期」や「待ちあわせ」などになんとか間に合う、という意味で使う。

「間に合うはずだ」と可能性を示す場合には、should を使う。

(例文)

「この分なら、ぎりぎりで間に合うはずだ」

At this rate, we should just make it.  

 

そのうち

そのうち = "one of these days"

 

確約をしたくない時に役立つ表現なので、契約書のように、ものごとを明確にするための文書中で使うのは好ましくない。 

(例文)

「そのうちまたまいります」

I will call again one of these days.  

ワープロと翻訳業界(その22)

現在では、マイクロソフトMS-Word が世界中に行きわたり、MS-Word が事実上の世界標準となりました。

そのため「ワープロ」と言う言葉自体、ほとんど使われなくなりました。

翻訳の依頼を受けた時に、かつては「ワープロは何を使いますか?」と確認が必要でしたが、現在では暗黙の了解でMS-Word となります。

客先からメールで送られてきたMS-Word のデータを開き、そのデータ上に上書き翻訳し、またメールで納品します。

その点に関しては、実に楽な世の中となりました。

しかし、その反面、TMツール(翻訳メモリーツール)やMTツール(機械翻訳)を絡ませて翻訳をしてほしいと言う客先からの要求も高まり、違う意味で大変な環境になってきていることも事実です。

結局、仕事で楽はできない、ということですが、もう一つ言えることは、私たちがいるドキュメント業界で唯一残っている工程が「翻訳」ということです。

「写植」という和文タイプの工程はなくなりました。

タイピストもトレーサーも紙で切り貼りをする人もいなくなりました。

スペルチェッカーというソフトのおかげで、スペルミスを修正するネイティブのプルーフリーダーも必要なくなりました。

「版下」という言葉もほとんどなくなり、「印刷」をする量は劇的に減り、PDFにとって代わりました。

従って、「ドキュメント作成」という一連の工程のなかで、唯一残っているのが「翻訳」なのです。 

これからも、TMやMTが補助的に使われることはあるでしょうが、最終的に人間の判断を必要とする「翻訳」そのものがなくなることはないでしょう。

もし、人工知能による「翻訳」が完全に人間にとって代わるとすると、人類の生活そのものが、現在では想像もつかない世の中に変わっているはずです。

しかし、残念ながらそんな世の中は、私たちが生きている間にはこないでしょう。

(この項、終り)